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**留学生の研究内容の紹介2

コウ テンさんの研究内容の紹介         2022.8月

ノダ文の研究

高甜さん写真令和4年度(2022年度)奨学生

高 甜(コウ テン)さん

東京外国語大学院総合国際学研究科

博士後期課程3年

(2022.8月現在)

 

1.研究を始めた経緯
  初めて日本語を始めたのは、10年前に大学に入った時だった。その時とにかく新しい外国語を学びた   くて、特別な理由がないが、いろんな言語から日本語を選んだ。それをきっかけに、これまで全く知らな かった世界が広がってきた。日本語を通じて、日本社会、文化、自然風景、中国と違った生活スタイルなどたくさんのことに刺激を受けていた。博士前期課程で、中国人の大学生に日本語を教える機会があって、その時日本語教師として人に知識を教えることの幸せをすごく感じた。そして、今後は日本語教師になりたいという目標を立てた。この目標を達成するために、博士後期課程に入って日本語を科学的に研究し、そして留学経験を積むことを決めた。
2.研究の内容
  日本語の研究とは、文法を研究したり、語彙の種類や分類、歴史的な変遷を研究したり、異なる言語の比較研究をしたり、方言の違いの研究をしたり、なぜ違ってしまうのかを研究したり、言語の記号化して論理構造を研究したり…いくらでも研究テーマがある。私の場合は、日本語のある特定の文法現象(ノダ文)を研究する立場である。
そして、個人の主観や感情を克服するには、文献調査、数量的な調査や実験といった科学的な方法によって行う。コーパス検索アプリケーション「中納言」を使って、言語データを収集することから始まり、言語理論に基づいて、特に認知言語学に大変興味を持っているので、それを踏まえて質的研究を行っている。具体的には、日本のノダ文は、「どういうときに使われるのか」「どういうときに使うとだめなのか」「なぜそうなのか」を究明することを、研究の目的にしている。さらに、母語である中国語と比較して、日本語のノダ文と同じ意味を表す中国語では、どんな表現を使う傾向にあるのかを調べて、日中言語の違いや共通点を探る。
3.今後の展開
  博士後期課程では、一つの文法現象しか研究することができないが、この経験を踏まえて、今後は多くの言語現象に目を向けて、日本語の全体像を把握しようと思います。
また、中国語との比較研究も視野に入れて、両言語のさらなる面白さを発見していきたい。
 言語を研究することは、コミュニケーションに役立つことだけではなく、違いを知ること、思考力を鍛えること、世界が広がることにもつながると思うので、「ちょっと面白いのが、ずっと面白い!」を座右の銘として、言葉と楽しく向き合いたい!
(事務局 奥沢文子) 無意識に使い分けている言葉は意外に多いのだと気づかされました。

 

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